
いきなりですが、あなたは、起業失敗について、以下のようなことで悩んでいないでしょうか?
- 起業したいが、失敗したくない
- 起業失敗した場合、どうなるのか
- 起業失敗には、どんな原因があるのか
- 起業失敗する人は、どんな特徴があるのか
- 起業失敗した場合、再就職可能なのか
私は、23歳で起業し、一時は、年商3億円以上になり上場を目指す規模までいきました。
しかしながら、10年後に倒産を経験。
それから、約2年間、上場会社2社の社長室(東証一部:年商5,000億円超など)でビジネスキャリアを積みました。
そして、再度起業し3年で年商1億円を突破、営業利益と役員報酬の合計が1億円を超すと共に5年以上黒字経営を実現しています。
そんな私だからこそ、今となっては、起業失敗についての原因と対策というのがハッキリと分かります。
ココでは、私の経験および知人で起業成功、失敗している人たちなどの情報そして、起業失敗後の対処方法、再起する方法についても紹介していきたいと思います。
起業して失敗している人の原因や特徴というのが明白にあると共に失敗を回避する具体的な対策もあります。
その為のノウハウを本文に記載しましたので、是非続きを読んでみてください。
きっと、この本文を読み終えるころには、あなたが起業して失敗する確率が減り成功の確率が上がることになるでしょう。
少なくとも、起業失敗に対する不安が解消されるキッカケを掴むことになるのは、間違いありません。
目次
1.起業の失敗には3種類ある
よく聞きませんか?
「成功するには、失敗を積み重ねた方が良い」とか
「成功するには、早く失敗した方が良い」とか・・・。
この“失敗”という言葉の定義が非常にあいまいなので人それぞれ受け止め方が違うはずなんですが、言葉通りに受けたら、本当に失敗してしまいます。
実は、起業の失敗には、3種類しかありません。
1-1.許容範囲内の失敗
失敗と言っても、倒産していない段階の失敗です。
起業して、事業計画通りにいかないことが多いわけですがそれでも、資金があれば、大丈夫なわけです。
資金的、精神的に少々のダメージがあったとしても許容範囲ということです。
その程度の失敗であれば、むしろ経験値を高める効果がありますので、全く問題ないです。
許容範囲内の失敗を繰り返していけば、成功の確率は上がりますので、この失敗は全然OKです。
1-2.再起可能な失敗
仮に、起業して全力尽くしたけど倒産してしまった段階の失敗です。
ただし、取引先には迷惑を掛けずに支払いをして借金も街金とか高利貸しなどの借り入れもない状況です。
もしくは、多少の借金はあるけど、返済できるレベルの金額という状況です。
起業は失敗してしまったかもしれませんが人生に失敗したわけではありません。
基本、人生を賭けて起業するわけですが人生の一部であり、起業して成功するだけが人生ではありません。
まぁ、実際にそうなった際には、そう思えないかもしれませんが。
私が思うに、本当に学べるのは、自らが真剣に戦い汗、涙、血を流した体験しかないのではないかと思います。
そこまで体験する人は、稀です。
ですから、本当に貴重な体験なわけですから、それを糧にして次のチャンスに備えれば最初の起業よりも遥かに成功の確率は上がることは間違いありません。
事実、私がそういう体験をしてきていますから、そのように確信しています。
1-3.人生すら破滅するような失敗
再起する不可能な失敗であり一番やってはいけない失敗です。
実質的に行き詰まっているのに、借入金を増加させてしまう返済のあてがないのに・・・。
そのパターンが多いです。
起業の失敗 ⇒ 人生の失敗 にしては、絶対にいけません。
そこまで、頑張る必要はありません。
勿論、ギリギリまでの頑張りは必要です。
ですが、既に再起不能に近い状態にもかかわらずさらに、自らの命を削るような行動をしてしまう人がこの失敗をしてしまいます。
ココまでのレベルに行きそうな人にしか言いませんが「起業が失敗したって、命までは奪わないんだから、とりあえず、生きていればまたいいことあるさ」くらいに考えていれば、大丈夫です。
是非、そこまで行きそうになったらそう考えて乗り切ってください。
起業して失敗しても良いのは、許容範囲内(ダメージが少ない)の失敗と再起可能なレベルの失敗そこまでです。
くれぐれも肝に銘じてください。
2.起業の失敗で一番多い理由とその背景にある2つのこと
どんな規模や業種においても共通して、起業の失敗で一番多い理由があります。
と同時に、その理由に隠れた原因があります。
2-1.商品やサービスが売れない
起業しても、1年以内に半分以上が実質的には倒産もしくはその状態に近くなります。
その圧倒的に多い理由・・・それは、商品やサービスが売れない。
つまりは、販売不振が原因により売上が上がらないということです。
当然ながら、売上が上がらないということは、入金がないということですから、手元の現金が減っていき資金繰りも大変になるという状況になります。
それについて根拠となるデータを2つ紹介したいと思います。
2-1-1.日本政策金融公庫のデータより
1つ目は、日本政策金融公庫が調査しているデータ
開業時に苦労したことおよび現在(開業後)苦労していること
- 【開業時に苦労したこと】
- 【開業後に苦労していること】
1位:資金繰り :47.7%
2位:顧客販路の開拓:45.6%
3位:財務・税務・法務に関する知識の不足:33.8%
1位:顧客販路の開拓:44.2%
2位:資金繰り :39.7%
3位:財務・税務・法務に関する知識の不足:25.3%
「2014年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~
日本政策金融公庫総合研究所小企業研究グループ の調べ
https://www.jfc.go.jp/n/findings/eb_findings.html
2-1-2.中小企業庁のデータより
2つ目は、中小企業庁が調査しているデータ
「原因別の倒産状況」
平成22年の倒産件数:13,321件の内、9,962件 販売不振が原因:74%
平成23年の倒産件数:12,734件の内、9,363件 販売不振が原因:73%
平成24年の倒産件数:12,124件の内、8,574件 販売不振が原因:70%
平成25年の倒産件数:10,855件の内、7,468件 販売不振が原因:69%
平成26年の倒産件数: 9,731件の内、6,708件 販売不振が原因:69%
※中小企業庁が調査している『倒産の状況』では、倒産の原因についても調査を行っています(倒産の状況 統計表一覧 原因別倒産状況タブ)。
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/tousan/index.htm
2-2.商品やサービスのみに気を配っている
「商品やサービスには自信があります!」
これ、良く聞きますよね。
「今の世の中にはない、画期的な商品です」と。
で、「どのくらい売れたんですか?」 と聞くと
「・・・・・」という具合。
商品志向が強すぎるケースです。
技術畑出身の人などに多いパターンです。
商品やサービスに自信があるのは、当然であり良い事です。
しかしながら、起業は、商品やサービスを品評するコンテストではありません。
商品やサービスが売れて成り立つわけです。
基本的に、商品やサービスに自信がないということは余程の事が無い限り、あり得ないと思います。
自信がないのに販売していても、売れるはずがありませんから、商品志向が強くなり過ぎないようにする必要があります。
2-3.営業力(販売力)がない
行きつくところは、これです。
新規開拓が上手くいかない、いくら営業しても全然売れない・・・。
世の中の大半の赤字会社は、このような状況です。
極端な話、商品やサービスが、今の世の中にない画期的なものであれば、ほとんど営業力は必要ないでしょう。
営業なんてしなくても、お客さんの方から「買いたい、買いたい、買わせてください」とそれこそ、行列ができるくらいになるでしょうから。
しかしながら、そういうことはほとんどありません。
むしろ、商品やサービスに違いはほとんどないけど、営業力(販売力)によっての差が起業成功の差になっていると言っても過言ではありません。
起業するあなた自身に営業力があるのがベストですが、もし、その力が無ければ、パートナーとして誰かと組むとか営業力がある会社などと業務提携するなどの方法をとる必要があります。
そういうパートナーや営業会社と組む際も、必要とされるのも、営業力なのかもしれません。
起業を失敗せず、成功させていくには絶対に、避けては通れない部分であるという事を理解してください。
少なくとも、今からその事を理解しておけば、そうではない人に比べ失敗の可能性は低くなります。
3.起業して失敗する人の原因や特徴
起業が上手くいかず失敗してしまう人は成功していく人に比べて、圧倒的多数います。
色んなリサーチデータや公の統計数値なんかでも、正確かどうかは定かではありませんが、おおよそ95%くらいは、成功していないというほどです。
じゃぁ、何で失敗する人が多く、その理由は何なのか?
ということを話していきたいと思います。
理由を挙げればキリがないですが、大きく5つあると思います。
3-1.起業して、そもそも成功する実力がない
正直、起業して成功している人から失敗している人を見ると「あなた、何で起業しちゃったの?」 という感想を持ってしまいます。
登山に例えて言うのであれば極論、登山の初心者がヒマラヤに登ろうとしているようなものです。
起業することは、自由だし、基本的には、好きにすれば良いと思いますが。
起業するまでは良いです。
ただ、起業して成功する力が、明らかにないのにも関わらず、起業して成功を本気で望むというのは、どうなんでしょうか・・・。
「じゃぁ、起業して成功する力って何だ?」と言われれば、それこそ挙げればキリがないです。
- 営業力
- 商品力
- 資金力
- 人間力
などなど、色々あると思います。
また、起業成功に関しては、「起業成功するために、絶対に知っておきたい7つのこと」で起業成功のための条件や必要なスキルなどについて、詳しく説明しているので是非お読み頂きたいと思います。
3-2.起業の準備不足
準備不足というのも大きいと思います。
せっかく起業して成功する力は、ある程度あったとしても準備が不足していては、成功出来ないです。
知識不足、資金不足、経験不足・・・。
登山に例えて言うのであれば、極論、登山靴やテント、非常食などを持っていかないようなものです。
それでも登山は出来ないことはないでしょうけど登る山にもよるでしょうけど、必ず途中で不測の事態に陥る危険性はあります。
そんな時に、準備不足が原因で、アウトとなることがあるわけです。
何事も準備には、不測の事態が起きる前提で行う必要があります。
というか、起業したら毎日が不測の事態が発生すると考えておいた方が良いくらいです。
ですが、そのこと自体を理解して行動できない甘さがあるんです、起業が失敗する人には。
結局は、起業前の準備もしっかりと出来ない人には起業後に成功なんてできるわけがないわけで、それも実力がないということになります。
3-3.○○がない、○○ができない、と口癖のように言う
起業や起業が成功するうえにおいて、必要ものというのは挙げればキリがないほどにあります。
例えば、人・モノ・金・情報などなど・・・。
ですが、起業の際や起業の後においてもそれらは、常に不足しているわけであり、最初から十分にあるという人はまずいないでしょう。
考え方によっては、いつまで経っても全ての条件が完璧になるということはそれこそ、ないのです。
ですが、起業できない人や起業しても確実に失敗している人の口癖というのは、こうです。
「起業資金がないから、アイデアがないから起業できない・・・」、「人脈がない、コネがない・・・」、「起業したはいいけど、営業ができない、取引先が見つからない」「財務諸表が読めない、書けない」と、それこそ挙げればキリがないほどに出てきます。
3-4.最高の状態から考えていて、最低の状態を考えていない
以外だと思うかもしれませんが、起業失敗する人の大半は、上手くいくことばかりを考えている傾向が強いです。
自分が考えた事業計画書に、余程の自信があるようで・・・ただ、その自信や根拠自体が、弱いというかアテにならない。
起業が失敗する人は、常に事業計画書通りに上手くことばかり考えていて最悪の状態を考えていないのです。
最高の状態から考えて行動していて実際は、そうそう上手くいかない・・・。
となった時に、精神的にも追い込まれ「こんなはずじゃぁないのに」となるのですが、そう思っているのは、本人だけで、第三者や経験者からすると、なるべくしてなっている状態だとしか思えないことが圧倒的に多いわけです。
3-4-1.なぜ、起業する人は、最高の状態ばかり考えてしまうのか
それは、起業失敗する人に限らず、ほとんどの人は、物事が順調にいくことを考えたい、考える方が気持ち的に楽だからです。
だから、事業計画書通りに上手くいくことばかりを考えてしまい、不測の事態に陥ることを考えられず考えることを拒否している状況だと言えます。
実は、これが最も危険であり成功から遠ざかる行為だと認識してください。
3-4-2.起業が成功していく人ほど、上手くいかない前提を考えている
起業が成功していく人は、真逆です。
常に、事業計画書通りに上手くいかない前提で考えて日々行動しています。
むしろ、事業計画書通りにいかないのが当たり前くらいに。
不測の事態が起こることを考えながら、行動するのは実は、結構精神的にキツイわけです。
ですが、最高の状態が前提で最低の状態になるよりも最低の状態が前提で最高の状態になる方が、良いということに気づきます。
これに気づけたならば、グイグイっと成功を引き寄せていくことができます。
3-4-3.悲観的に考え、楽観的に行動する
悲観的に考え、楽観的に行動する。
まとめて言うならば、この言葉に集約されます。
「悲観的に考え、楽観的に行動する」
悲観的に考え、悲観的に行動するのが、最悪ですが楽観的に考え、楽観的に行動するのは、同様に最悪とも言えます。
徹底的に不測の事態が起きてもよいように考え行動する。
その上だからこそ、不測の事態が起きても対処できると思えるからこそ、楽観的に行動が出来るというわけです。
3-5.起業が失敗するのは、「売上高-経費=利益」だと勘違いしている
基本的には、売上高-経費=利益 なのですが、それは、帳簿上(会計上)の数値であって、必ずしも、というか、ほとんどの場合においては、その金額と同じ金額が現金残高としてあるわけではないのです。
ココを勘違いしてはいけません。
3-5-1.帳簿上の利益と実際上の利益は違う
最も大事なのは、帳簿上(会計上)の数値よりも現金残高だということを意識しましょう。
帳簿上(会計上)は、利益が出ているのに現金残高としては、思っている以上に利益が出ていない・・・。
そういうようなことは、大いにある現象です。
それは、この知識がないから起きています。
ですから、油断して、利益が出ていると思って、気を大きくして無駄な出費は絶対に避けるべきであり、過剰な先行投資なども避けた方が良いです。
要するに、現金残高を常に意識していくことが出来ればそうそう大きな間違いはないということです。
3-5-2.利益から税金が引かれることを考えねばならない
利益が出れば、それは嬉しい事であります。
しかしながら、利益が出たという事は、法人税が掛かるということになります。
利益には、大きく税引き前利益と、税引き後利益というのがあります。
本当の利益というのは、法人税が引かれた後の数値である税引き後利益であり、現金残高として増加する金額は税引き後利益なわけです。
おおよそ、税引き前利益に約40%程度が法人税として支払う義務が発生します。
実際に利益を出してみると分かりますが、仮に1,000万円の利益が出たとしても、税金が約400万円を納税すると、手残りの現金は、約600万円です。
利益を出しても、以外に手残りの現金が少ない事に気づかされます。
4.起業で失敗しないために対策すべきこと
起業して失敗する多くの人が、やってしまいがちなことがあります。
それは、起業前の準備不足と起業開始時に固定費を上げることです。
4-1.起業前に全力で準備すること
起業して、本当に絶対に失敗したくないのならば、本気で全力で起業して成功する力を身につけてください。
ただ、それだけです。
もう少し、具体的に起業前の準備について言うと
次に挙げる項目になります。
- 資金は十分にあるか
- 営業力または商品開発力があるか
- 会社経営について、十分な知識があるか
- ビジネスアイデアは、しっかりと練られているか
- 事業プラン通りにいかなかった場合のバックアッププランはあるか
などを起業前に徹底的に準備できているかどうかが、ポイントです。
4-1-1.全力で準備しない人が落ちる罠
全力で準備すること以外に、方法があるはずだと、大きな勘違いをしている人も多いのも事実です。
変な裏技的な方法を考えたり、変な投資話や儲け話に興味を持ったり・・・。
それで、詐欺的な話にひっかかりお金を失い、信用を失っていく人もいます。
そういう人っていうのは、偶然でそうなっているのではなく、必然なんです。
当人は気づいていないだけで・・・。
それは、本来やるべきこと、起業して成功するための準備や実力を身につけないで、ありもしない成功の最短距離を歩もうとしてしまう人にそういう詐欺的な話が来るわけです。
絶対に失敗したくないどころか、そういうパターンは、絶対に失敗します。
だからこそ、そうならないためにも、起業して絶対に失敗したくないのならばしっかりと、起業して成功するための準備と実力を身につけるべきです。
大事なところなので、もう一度、言います。
それ以外に、起業して成功する方法があると思いますか?
私は、断言します、「そんなのは、ない」と。
4-2.固定費を上げないこと
固定費が高いというのは、それだけ現金が少なくなっていく、少なくなっていくスピードが速くなるという事を意味しています。
それは同時に、試行錯誤を繰り返す時間が短くなる、モット言うと、起業間もない会社の寿命を縮めるようなものです。
4-2-1.人を雇うことはしない
あなた以外に従業員を雇わなければ成立しないビジネスなのであれば、仕方がないのですが、それでも、どうしても従業員が必要か否かから、考え直してください。
また、どうしても必要だという場合、いきなり正社員でなければならないのかどうか、アルバイトやパート、外注ではダメなのか?
4-2-2.不相応なオフィスを借りない
敷金礼金が5ヶ月以上あるオフィスを借りる必要があるのかどうかを考え直してください。
- 自宅
- 普通のマンション
- レンタルオフィス
- 知人のオフィスの間借り
などでは、ダメなのか?
とにかく、徹底的に固定費を低くすることを考えてください。
固定費は、最低限のレベルに抑えて、その分を売上が上がるために直結することにお金を使うべきです。
固定費に多くのお金を掛けるのではなく、営業活動費として、広告宣伝費など売上が上がる為の施策にお金を使うべきです。
起業当初は特に、売上が安定して見込めるわけではありません。
ですが、固定費は確実にキャッシュアウトしていき銀行残高からお金が減っていきます。
だからこそ、固定費は最低限のレベルにして1円でも確実にお金が減らないような工夫が必要なのです。
また、起業リスクの回避する対策などに関しては、「4つの起業リスクとリスクを最小限に抑える13のこと」で起業リスクは具体的に何なのか、起業リスクの回避の方法などについて詳しく説明しているので是非お読み頂きたいと思います。
5.起業失敗の確率と倒産した際に残る負債金額のデータ
起業しようと考えている人が、最も気になることとしてあるのが、起業失敗の確率と倒産した際に残る負債金額ではないかと思います。
その辺りついて、具体的なデータも出しながら可能な限り現実的な数値を紹介したいと思います。
5-1.起業の失敗確率
起業の失敗確率を正確に算出することは、事実上不可能だと思います。
なぜなら、国が正確に公表している正確なデータ(起業失敗率として)もなければ、民間の調査会社が出しているデータを見ても、大きな隔たりがあると共に私自身の肌感覚的な数値からしてもズレがあるからです。
それを前提としたうえで、私の知る限りでの推測値から敢えて言うならば、少なくとも、1年以内に70~80%程度が実質的には、倒産状態だと思います。
3~5年で倒産状態が確定、そして、10年後には97%程度の会社が事実上、倒産していくと思います。
とはいえ、もう少し具体的に起業の失敗確率を予測するために、多少は参考になるデータを2つ紹介したいと思います。
5-1-1.中小企業庁のデータより分析
まず1つ目は、※中小企業庁の発行する『中小企業白書』。
~10年後には3割、20年後には約5割が倒産~
毎年中小企業を取り巻く状況などをまとめている『中小企業白書』では、
企業の生存率をまとめています(2011年版中小企業白書 第3-1-11図より)。
調査によると5年後に生存している企業の割合は82%。
5年後には18%の企業が倒産などにより撤退しています。
そして10年後の生存率は70%、15年後には61%、20年後には52%となっています。
新規企業が絶えず設立されていっても、20年後には約半数が撤退しているというのが現実です。
このデータを見て、どう思いますか?
数字通りに見ると、5年後に82%生存しているということは、かなりの確率で、生き残れると思いますか?
もし、そうであるならば、起業の現実を全く知らない人だと思います。
国の機関が出している数値というのは、正式に廃業届を出している数値であり実態とは大きくかけ離れていると言っても間違いありません。
また、データの(注)1にもあるように、会社の創設時からデータベースに企業情報が掲載されている企業のみで集計されているという点です。
しかも、この資料は、帝国データバンク(国内最大手の信用調査会社)のデータベースに掲載されている会社であり、その中身は優良企業14万社(2015年3月現在)という状況です。
これが実態を反映しているとは言えないと思います。
5-1-2.国税庁のデータより分析
2つ目は、国税庁が出している法人税等の申告(課税)事積の概要。
これは、黒字企業の割合を出しているデータです。
平成21年の23.4%を過去最低として、概ね30%未満で推移しています。
中には、意図的に赤字決算をしている会社もあるでしょうが、ごく稀のケースであり、実態としては約70%以上の会社が赤字会社ということです。
勿論、赤字の会社が延々と赤字企業だとは言いません(中には、そういう会社もあるでしょうが)。
ただ、赤字=起業失敗、即倒産という状況には直結しないですが、そうなっていく可能性が高いということだけは間違いありません。
特に、起業間もない会社というのは、資金も潤沢にあるわけではなく、実態としては、1年目で軌道に乗らずに、起業資金が底を尽きはじめるのが70~80%程度で、実質的には倒産状態です。
これは、私が見てきた多くの起業が失敗している人のパターンです。
ほとんどのケースでは、1年も2年も資金に余裕がある状態で起業している人はいません。
仮に、起業間もない会社が2~3年連続赤字になれば、資本金が底をつくのは目に見えています。
実質的には、赤字が続く倒産状態でも続けている、無理な借り入れなどをして続けてしまっているのが現状だと思います。
そして、本当に限界の状態で倒産した際には、資本金や年商を上回るような負債金額になってしまっているというのが実情だと思います。
5-2.倒産した際に残る負債金額のデータ
起業失敗し倒産した際に残る負債金額について
具体的なデータを紹介していきたいと思います。
資本金別の倒産件数と負債金額が分かるデータです。
- 資本金100万円未満及び個人の倒産件数と負債金額
- 資本金100万円以上の倒産件数と負債金額
- 資本金500万円以上の倒産件数と負債金額
- 資本金1,000万円以上の倒産件数と負債金額
- 資本金5,000万円以上の倒産件数と負債金額
- 資本金1億円以上の倒産件数と負債金額
倒産件数:1,723
負債金額:95,094(百万円)
1件あたりの平均負債金額:約55(百万円)※負債金額÷倒産件数
倒産件数:2,746
負債金額:160,615(百万円)
1件あたりの平均負債金額:約58(百万円)※負債金額÷倒産件数
倒産件数:1,101
負債金額:84,914(百万円)
1件あたりの平均負債金額:約77(百万円)※負債金額÷倒産件数
倒産件数:3,710
負債金額:818,354(百万円)
1件あたりの平均負債金額:約220(百万円)※負債金額÷倒産件数
倒産件数:331
負債金額:290,845(百万円)
1件あたりの平均負債金額:約878(百万円)※負債金額÷倒産件数
倒産件数:120
負債金額:424,243(百万円)
1件あたりの平均負債金額:約3,535(百万円)※負債金額÷倒産件数
資本金別の倒産件数と負債金額をまとめると
資本金の金額が多いほどに比例して負債金額が多くなっていることが分かります。
資本金規模 | 倒産件数 | 負債金額 | 1件あたりの平均負債金額 (単位:百万円) |
資本金100万円未満 | 1,723 | 95,094 | 55 |
資本金100万円以上 | 2,746 | 160,615 | 58 |
資本金500万円以上 | 1,101 | 84,914 | 77 |
資本金1,000万円以上 | 3,710 | 818,354 | 220 |
資本金5,000万円以上 | 331 | 290,845 | 878 |
資本金1億円以上 | 120 | 424,243 | 3,535 |
中小企業庁が調査しているデータ、平成26年の倒産状況の数値です。
中小企業庁が調査している『倒産の状況』では、
倒産の原因についても調査を行っています(倒産の状況 統計表一覧 資本金別倒産状況タブ)。
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/tousan/index.htm
6.失敗した際に残る借金に対する不安を軽減する方法と返済について
起業したいと思っても、起業に踏み切れない人のほとんどの理由が、失敗した際のリスク、具体的には「借金したら、どうしよう・・・返せなかったらどうしよう・・・」というものだと思います。
まず、最初にお伝えしたいことですが、残る借金に対して必要以上に、恐れる必要はないということです。
なぜなら、世間というのは、起業するあなたに対して、そう易々とお金を貸すことはないからです。
また、お金を貸す側というのは当然ながら、あなたの返済能力を見てお金を貸しています。
つまり、貸す側からすると、返済される可能性が高い金額を貸しているということです。
その面では、最初から返済リスク(借金)というのはあなたが思っている以上に軽減されているということなのです。
6-1.残る借金に対しての不安を経験する考え方
良い例があります。
タリーズコーヒージャパンの創業者である松田さんの話を例に挙げたいと思います。
松田さんは、創業当初、資金面で苦労したそうですが、元々のキャリアは、都市銀行出身だけあって資金調達能力やノウハウは、普通の人に比べてあったのは間違いないと思います。
ここで注目してほしいのは資金調達能力ではなく、借入金が返せなかった際の考え方に注目してください。
さて、ここから松田さんのコメントです。
~資金に関しては、親族、友人、知人から3,500万円集め、国民生活金融公庫からも3,500万円の借り入れをしました。合計:7,000万円の借入金。コンビニで1日10時間35年間働けば借金は返せると計算していましたから~
ということです。
今一度、借入金が返せなかった際の考え方に注目してください。
借入金が7,000万円という金額は確かに大きいですがまぁ、東京都心でも比較的グレードが高いマンションを買えるくらいの金額ですよね。
そう考えると、気持ちが楽になりませんか?
「いやいや、そんなレベルは、無理です・・・」と
思う人が大半だと思いますので、もう少し現実的に話します。
あなたが失敗して、借金に対しての不安や恐怖があるというのは「返せなかったらどうしよう・・・」というのが大きいわけです。
それなら、もし失敗しても、どの程度の金額なら大丈夫なのか具体的にその借入金をどのような期間と月の支払いであれば大丈夫なのかをシュミレーションするということが大事だということです。
その金額を自分なり計算してみるべきです。
その数字が分かると、思いほのか気持ちが楽になります。
6-2.失敗しても大丈夫という考え方が起業成功に繋がる
つまり、失敗した場合、どこまで落ちるのかが分かっているのと分かっていないのとでは、何より精神的に大きな違いがあります。
起業する人は、誰しも成功を目指すわけで、最初から失敗を考えて起業する人はいないと思います。
それでも、失敗してしまう時は、してしまう・・・。
だからこそ、せめて、起業する前から「失敗して大丈夫、もし、してしまった時にはこういう対処をする」ということを決めておくべきなのです。
まぁ、その際は、先ほどの松田さんの話しではないですがコンビニでアルバイトするよりも、もう少し効率が良い方法で、プランを考えてみてください。
6-3.失敗後に残る借金返済の対応方法
起業失敗して会社が倒産した際の借入先、借入金額などにもよりますが共通して対応すべき項目があります。
それは、次に挙げる項目です。
- 債権者に対して、状況を包み隠さず説明を行う
- 説明を行ったうえで、現実的な返済計画を相談する
- 返済計画通りに返済していく
基本的にはそのような対応をとります。
あとは、弁護士に相談して、その後の対応策を決めていくというのをおススメします。
なぜなら、債権処理については、法的な知識が求められますし後々のトラブル防止にもなりますので、弁護士に相談の上対応していくのが確実な方法だからです。
7. 起業して失敗した場合、再就職や再起は可能なのか
起業して、あなたなりに自分の人生を賭けて真剣に取り組んだ結果、資金的にも精神的にも限界になり、結果的に失敗してしまった場合・・・。
この考えと戦略で乗り切る事を提案します。
まず、大前提として、完全に再起不能状態借金が返せないくらいの状況やうつ状態などにはならないでおいてください。
その上で、という話しをしていきます。
7-1.起業した失敗をこう生かせる
起業失敗後は、また何か起業アイデアがあり新しい事業をやるということは、ほとんどないと思います。
ですから、再就職することが基本となると思います。
一般的には、起業して失敗した人=社会の落伍者的なイメージや扱いだと思っている人も多いと思います。
確かに、それが一般的な大多数の見解でしょう。
しかしながら、正に世の中「捨てる神あれば拾う神があり」であり起業経験者に対して高い評価を示し、積極的に採用する会社もあります。
事実、私がそうですから。
しかも、私はそういう会社2社に巡り合っています(しかも、いずれも上場会社)さらに言うと、2社とも社長室です。
起業して失敗した人、全員が全員に当てはまる話ではないかもしれません。
しかしながら、一度でも起業した人というのは、ごくごく稀な数であり、ビジネス上において貴重な体験を積んだ人だとも言えるわけです。
そういう面を評価して採用したいと考えている会社があるのは間違いありません。
あなたが知らないだけで、そういう会社があるということは知っておいてください。
7-2.だからこそ、起業して真剣に取り組むことが重要
何も、失敗しても、私のように上場会社の社長室に就職するために、起業して頑張るという意味ではありません。
ですが、起業して実際に社長として事業を運営したという経験は、起業の規模やレベル関係なく、とても価値ある経験だという事です。
恐らく、あなたが思っている以上なはずです。
起業して余程手を抜いた事業運営でなければ、真剣に事業運営に取り組んでいるはずです。
そこから学び経験することは、売上や利益を上げるための戦略を考える力、コスト意識、お客様意識、事業運営全般の知識や運営経験など、企業が人材に対して求める多くの事を経験できるわけです。
もし、起業に失敗して再就職となった際にはそういう点を強みとして、アピールが十分に出来るわけです。
だから、そんなに起業して失敗したとしても、怖がらないでください。
起業したこと自体、あなたの貴重な財産になりますし、何よりも起業するほどの勇気がある人を、世の中は見捨てはしないでしょう。
だから、仮に起業で失敗したとしても、「なんとなる、いや、なんとかしてみせる!」と考えてください。
少なくとも私の経験上、人生において、起業する以上に勇気が必要なことって起業失敗後においても、未だ見当たりません。
つまり、起業した勇気があれば、いくらでもやり直しや再起は出来るということです。
それは、私が正に身をもって証明していますし、私の起業仲間でも、複数いますから。
8.まとめ
起業の失敗というのは、そうなる原因があるからこそ、至るわけです。
逆に言うと、その原因を知り事前に対処していけば、良いわけです。
恐らく、起業して失敗している人は、ここに書かれているようなことを知らないはずです。
起業前に、この本文にある内容を知っておくのと知らないのとでは起業の結果において、大きな違いがあります。
是非、ここに書いてある通りに、起業の失敗の原因を深く理解し失敗を回避する方法を参考に実践していってほしいと思います。